デジチャレ成果発表会 デジタルの世界 探究

デジタル人材の育成を目指す県の「群馬デジタルイノベーションチャレンジ(デジチャレ)」成果発表会が3月、高崎市のGメッセ群馬で開かれた。地域ICTクラブに参加した小学生、部活支援を受けたモデル5高校の生徒が事業の成果を発表した。

 地域ICTクラブからパレイストラ関根(前橋市)に参加した橋本樹さんと平耕次郎さん、スマイル放課後児童クラブ(伊勢崎市)に参加した原琉月さんが活動を振り返った。橋本さんは「自分で考えたプログラムでロボットが動かせたことが楽しかった」といい、原さんは「ゲーム内で家を建てた。難しかったけど楽しかった」と声を弾ませた。平さんは「プログラミングにもっと触れていきたい」と目標を語った。

 桐生高物理部の浅沼李成部長と田米開大馳副部長、大西陽己さんは介護施設利用者の徘徊(はいかい)や子どもの車内置き去り、トイレの空き状況を通知するシステムを解説。プログラミング言語講座への参加や地域ICTでのアシスタント活動などにも取り組んだ。

 桐生高物理部の浅沼李成部長と田米開大馳副部長、大西陽己さんは介護施設利用者の徘徊(はいかい)や子どもの車内置き去り、トイレの空き状況を通知するシステムを解説。プログラミング言語講座への参加や地域ICTでのアシスタント活動などにも取り組んだ。

 前橋西高コンピュータ科学部の太田脩斗部長、平井睦歩副部長、成瀬昊さんは文化祭の出し物としてプログラミング学習ツールでゲームを制作した。ゲーム内の物体同士の接触や衝突を判断する処理「接触判定」や変数・配列などを学んだという。3人は「徐々に仕組みを理解し、オリジナル作品を作ることができた」と話した。

 太田工業高は美術部(青木隼太朗さん、新井一貴さん、大塚里桜さん、斎藤海音さん、中野智貴さん、原島まゆみさん、村上楓芽さん)とパソコン研究部(斉藤琉生さん、野中健登さん、後藤隆人さん)の計10人が登壇した。美術部はイラスト制作ソフトウエアで、ロゴマークやキャラクターデザインなどを作ってコンテストへ応募したり、県内の名所をテーマにした観光ポスターを手がけた。パソコン研究部はアクションゲーム作りに挑戦したことをそれぞれ発表した。

 藤岡中央高のF.C.Lab(エフ・シー・ラボ)は小川零部長と新井優希翔副部長、小山隼宜さん、小田中春樹さん、有賀叶翔さんが、校内の樹勢低下した木の生育環境を調べるため、降水量や照度、気温、湿度といったデータを収集し、プログラムでまとめるシステムを構築した。

 高崎高物理部の佐藤弘基前部長と柿沼広大さん、斉藤孝介さん、福嶋勇人さん、常見健太さんは、ハンドサインを用いた認証技術の開発のほか、ロボカップジュニアジャパンやぐんまプログラミングアワード(GPA)への参加、地域ICTクラブへの協力など、活動を報告した。
 (学校・肩書は当時)

【2022年度 5高校6部活を指定】
◎ニーズ応じ 指導者派遣
 2022年度は5高校6部活を指定し、民間企業からの講師派遣などの人的支援に加え、小型コンピューターの購入、ポケットWi―Fiの貸与といった物的な支援も行った。一律の支援でなく、各校のニーズに応じて適当な指導者に声を掛け、物を準備した。

□藤岡中央高F.C.Lab
 IT関連のアイエムエス(前橋市)が未経験者中心の部員にプログラミング言語「パイソン」と、環境を測定、数値化するセンサーの扱い方などを教えた=写真左。地元の名所、桜山公園(藤岡市)の冬桜に樹勢の衰えが目立つことを知り、校内の樹木にも同じ現象がないか、調査を進めた。

□桐生高物理部
 IT関連のシカク(桐生市)、サンダーバード(前橋市)、自動車電装部品製造のミツバ(桐生市)がアイデアを生む手法などを教えた。大学教員やデザイナーらでつくるベンチャー企業のサイエンスパンダ(太田市)からは、所属の群馬大教員がプログラミングを中心にサポートした。

□太田工業高美術部、パソコン研究部
 IT関連のペリテック(高崎市)が講師を派遣した。美術部は学校に導入されたデザインソフトを活用した作品制作を目指し、コンテストに応募するなどして腕を磨いた。パソコン研究部はオリジナルゲームの制作を目標に、ゲームプログラミングに取り組んだ=写真。

□前橋西高コンピュータ科学部
 IT関連のサンダーバードが、デジタル技術の習得を後押しした。プログラミング学習ツール「スクラッチ」の初歩から始まり、プログラミング言語「HTML」の学習や、動画の編集作業に取り組んだ。昨年6月の文化祭で自分たちが作ったゲームを発表したり、部活紹介動画を作成したりした。

□高崎高物理部
 ペリテックが、GPAをはじめ、コンテストや発表会に出品する作品の完成に向けた助言と、技術指導を行った=写真左。IoT技術を駆使したデバイス開発に加え、仮想現実(VR)技術や、自律型ロボットの製作などテーマは多岐にわたり、全国大会で結果も残した。

◎児童クラブや児童福祉施設 活用の場 探る
 地域ICTクラブ事業では、前橋、伊勢崎両市の放課後児童クラブをモデルクラブに指定し、デジタル教育の場として活用の道を探った。講師は高崎商科大の築雅之教授、共愛学園前橋国際大の村山賢哉教授、群馬大の茂木和弘助教が担当し、指導内容の検討や、教材の選定と作成にも協力。各大学や学生団体「PPP―C」の大学生や、部活動支援を受ける桐生、高崎両高校の物理部員も指導に加わった。
 関連事業として、前橋市内の児童福祉施設でもプログラミングや3Dプリンターなどの体験教室を開催し、IT関連のサンダーバード(前橋市)の山根洋平社長が指導した。

【ゲスト講師 講評】
◎両毛システムズ取締役相談役 荻野研司さん
 皆さんの発表から勇気をもらった。世の中を変えるのは教育。本事業のような取り組みが教育の場に浸透していくことが、日本を強くする源になると感じた。

◎NPO法人DNA代表理事/県教委教育委員 沼田翔二朗さん
 皆さんから教わった「作りながら学んでいく」という経験を県内の子どもたちが体験できるように教育環境を整えていきたい。

◎県デジタルトランスフォーメーション推進監 岡田亜衣子さん
 皆さんが堂々と発表している姿を見て、群馬の未来はすごく明るいと感じた。

 発表会の模様

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